PLAYBACK

PLAYBACK レイモンドチャンドラー

プレイバックは、長いお別れの続編である。

マーロウはリンダ・ローリングと結婚する。

タイトルのプレイバックは、その名の示すとおり、

一度録音したものを再生する。という意味で、
「あなたに結婚して欲しいと頼んでいるのよ。」という リンダ・ローリングの台詞である。

そう、ロング・グッバイでも、 この作品、プレイバックでも、

リンダ・ローリングは、 マーロウに求婚する。

ロング・グッドバイ 「結婚してほしいと頼んできた」

プレイバック 「結婚していただきたいです。」
1年半の間忘れる事の出来なかった、男のセンチメンタルである。

もしかしたら、このプレイバックというタイトル。
過去にもどってやり直す。という意味で使われているのではないか。と感じる。
彼女と別れてしまった、その日に戻って、やり直す。
誰でも一度くらいあるだろう。
その日に戻ってやり直せるなら、やり直してみたいと思う日が。
そんな、いい歳をした、ちょっとズルイ中年男のセンチメンタル恋愛小説。
ヘレン・ヴァーミリアとの情事には、自分の部屋を使う事を良しとせず、
行為の時には、「愛してなくても良いじゃないか。そんな事を考えるのはよそう。
すばらしい瞬間だけを楽しめればいいんだ。」と言っている。
「なぜ、ここじゃいけないの?」という彼女の問いに
「こんな事を言うと、君は帰ってしまうかもしれない。僕はここで夢を見た事がある。」
1年半前の事だ。その夢がまだ何処かに残っている。そっとしておきたいんだ。」
「その女は金持ちだった。僕と結婚するといった。うまくいくとは思えなかった。
おそらく、もう会う事もあるまい。だが、忘れられないんだ。」
ベティ・メイフールドの場合には、 もっと、ひどい男になっている。
関係を持った後、
彼女は「あなたを愛してるんだと思ってたわ。」といっている。
それを、はぐらかして「あれは夜だけの事。」
「それ以上の事を考えるのはよそう。」 と言って逃げる。
その後、彼女はこう言っている。
「恋をした事がないの?毎日、毎月、毎年、 一人の女と一緒にいたいと思った事はないの?」
これには答えず、「出かけよう。」とマーロウ。

その後だ。彼女が例の質問をする。

「あなたのようなタフな男が、どうしてそんなに優しくなれるの?」

この質問。{君が好きだから。][君が大事だから。]という答えを
期待していると思うのだ。
それに答えて、あの有名な台詞。

「タフでなくては、生きていけない。優しくなくては生きていく資格が無い。」

と。。。またしても、はぐらかす。
そう、愛する女、心に残る女性が居るにもかかわらず、
愛のない関係を持ってしまった男。
せつないね。

リンダからの電話に答えて、

「さびしいのよ。あなたに会いたい。」

即答で「1年半前のこと。」と答え、

「ぼくはここにいるよ。いつもここにいる。」

リンダのための場所を用意して。